一般質問 ~障害者権利条約の批准と横須賀市の障害者福祉計画~
9月1日から始まった横須賀市議会第3回定例会の初日、一番で登壇し、市長と論議を交わしました。
質問したテーマは、障害者権利条約の批准と横須賀市障害福祉計画の策定について、横須賀市施設配置適正化計画の素案についてでした。
障害者の関係では、今年1月に政府は障害者権利条約の批准の手続きを行い、140番目の締約国となりました。条約発効後5年が経過しましたがようやくの批准となりました。遅れた理由は、障害者権利条約と日本の国内法とではあまりにも開きがあるということで、批准するための国内法の整備を進めました。障害者基本法の改正や障害者差別解消法、障害者虐待防止法の制定などが行われましたが、まだ不十分さも残るというのが実情です。
日本弁護士連合会は、条約の批准に伴う声明の中で、国内法整備は必ずしも十分とは言い難いとのべ、民間事業者の合理的配慮義務を法的義務へと移行すること、政府から独立した国内人権機関の創設、あらゆる段階において共生社会を形成するための教育・インクルーシブ教育を保障することなど、8つの項目について国内法整備を行うことが必要であると指摘しています。
この条約の中で特に私が注目したのは、「障害者のあらゆる差別の禁止」という中に「合理的配慮の否定」も差別に当たるという概念が盛り込まれたことです。例えば、段差がある場所にスロープを設置しないことや障害者の権利の確保のために必要な措置を行わないといった障害者に対する配慮をしないという合理的な配慮も差別に当たるとするものです。
これらの考え方は、日本の教育や福祉、あるいは労働及び雇用などに関する法律や制度など、様々な施策の見直しを国に求めており、日本の社会の在り方に大きく影響するものと思われますし、私たち一人一人の意識の変化も求められると思います。
こういった新しい考え方を私たちは、障害者権利条例として市として条例化し、市民に啓発するとともに市として推進する姿勢を示すべきだと質問しました。しかし、市長は権利条例は考えていないという答弁でした。
私は、少なくても市が行った横須賀市人権都市宣言の中の人権指針にこのような考え方をいれるように見直しするべきと主張しました。
今後、具体的な場面で、市の配慮が足りないという状況が出てきます。その時に市はどう対応するのか、しっかりとみていきたいと思います。
また、障害福祉計画の改定については、現計画で達成できそうもない目標について、その原因を明らかにし、次回計画ではその原因を取り除けるようにするべきと主張しました。
現計画で達成できそうもない目標としては、「施設入所者の地域生活への移行」「福祉施設から一般就労への移行」の二つが掲げられていました。
その中で、「施設入所者の地域生活への移行」については、入所者が高齢化、重症化していることから難しいという答弁でした。
次回の計画でどのような数値目標にするかはこれからですが、これらの現状をしっかりと把握したうえで、目標を達成できるような市の支援策の拡充や予算をしっかりとつけることが重要です。
市には、より一層の努力を求めたいと思います。