代表質問 ~アスベスト対策の強化を~
代表質問についてですが、今日はアスベスト対策の強化についての質問を紹介します。
アスベスト(石綿)は、耐熱性、絶縁性などに優れ、建材として広く使われていましたが、吸引することで、中皮腫や肺がんなどの深刻な健康被害を発症するリスクが高く、近年では、そのアスベストを長年使用していた建設作業員が死亡に至るケースが増え、その責任と賠償を求める裁判が起こっています。
このような健康被害が明らかになったため、2012年にはすべてのアスベスト含有製品が全面禁止となりました。
しかしアスベストは、これまでに約1,000万t輸入され、約9割が建材として使用されていますが、その使用実態は十分に把握されていません。
この間、神奈川県でアスベストを含む建材の解体工事などで不適切な対応がされているケースが発覚しています。
昨年11月、横浜市港北区の慶応大学の実験室の改修工事で、断熱材として使われていたアスベストの存在を確認しないまま工事が行われ、今年3月に横浜市が立ち入り調査を実施し、行政指導が行われています。
また、昨年12月、民間に売却された海老名市の市営住宅の解体工事で、規定では手作業となっていた作業が、重機で行われていたことが周辺住民の指摘により発覚しました。
また、今年3月には、JAあつぎ旧本所の解体工事で基準値を超えるアスベストが検出され、県は工事の中止を指示をしました。
このような事例は、全国でも発生しているため、今年5月13日に総務省は「アスベスト対策に関する行政評価・監視の結果報告書」とそれに基づく勧告を出し、今後アスベスト対策を強化していく方向性を示しています。
このような状況から県として、人的配置や予算の拡充などの対策の強化を求めました。
答弁では、規制の強化については、国の動向を注視する、県としての対策の強化については、すでに必要な人員と予算を措置しているとのことでした。
しかし、同じような業務をしている横浜市や川崎市では、条例で神奈川県よりも厳しい措置をしており、特に川崎市は解体現場への立ち入り調査を大変多く行っています。このようなことを指摘しながら、県としてもっと対策の強化と県内での取り組みの連携を図るよう再質問しましたが、答弁に環境農政局長が立ち、国の動向を注視するとのことでした。
アスベストは、建設関係だけでなく、造船などの製造業などでも使われ、作業に携わっていた方々がその影響で中皮腫や肺がんなどにかかっています。被害を受けた方は、夜中でも咳が止まらず、苦しくて眠ることができないなど苦しい状況があり、そういった中で亡くなっていく方もいます。また夜中のひどい咳によって、家族も眠ることもできなくて、一緒に住めなくなった。そういう被害の実態も明らかになっています。
これ以上苦しむ人を出さないためにも、解体工事の時の対応を厳格に行うとともに、アスベストを含んだ建材の解体工事を行う際の、国の支援も必要と思います。
このアスベストによる被害をなくすために、県として、さらに取り組みを強化することを強く求めます。